しゃべるために作る

人に自分の思いを伝えるのはほんとうに難しい。「あー」も、「うー」も自分の声が部屋に響いているというだけで緊張してしまう。だからなるべく息を殺して身を潜めてるといった感じ。誰も気がつかなくていい。時間が経つのをひたすら待っている。久しぶりだ、こんな感情に陥るのは。様々な人と知り合って、自分の居場所ができたことに自信を持っていた。もう人と話すのなんて怖くないと思ってた。でも、そこにいたのは人と話すのを怖がっている私だった。今更こんなことで悩むの嫌なのに、原因もわかっているのに、その壁を飛び越えかたは頭ではわかっているはずなのに、体が言う事を利かない。まず声が出ない。「はい」とか簡単なあいさつができない。でも、ものすごく人と会話をすることは大好きで人と一緒にいることも大好きなのに、っていう話を萌え萌えの女の子にしていたら、
「わかります。うちの学校にもそういう人多いです。物を作る人ってそうですよね。しゃべるために作ってる、感じです。」
と言ってくれた。
すごく嬉しかった。今でも泣きそうになる
「しゃべるために作る」
そうだと思う。
その子は服飾関係の学校に通ってる子で、やっぱり何か物作りをしている人は違う。未来をしっかり見ている。私が今3つバイトを掛け持ちしていて、3つやってようやく物作りの仕事をしたいと、はっきり気付いたことを言ったら
「いいと思いますよ。だって何がしたいかわからなくて働いてる人の方が多いじゃないですか」
そうやって、しっかりと言い切る彼女はすごくカッコいいと思った。
何かやりたいことがあるって誇りを持っていいことなんだなって。
彼女はデザイナーになりたいらしい。普段すごくドジっ娘で、今日もバイトないのに間違えて来てしまったりするのに(これで2回目らしい。結局紛れて働いた。彼女曰く、ちゃんとメモはしてるそうな、)すごくカッコいい。彼女の洋服作ってる姿を見てみたい。