若いからまだピンとこないよね、

この前赤ん坊を抱きました。女の子だったら抱いてみたいでしょ?とか言われた。なんじゃそりゃ、なんじゃそのドラマのセリフみたいなの。あまりにも滑稽な理由でどうしようかと思った。赤ん坊って不思議ですね。みんな穏やかな気持ちになる。私も穏やかな気持ちになっていたけど、そんな自分がなんかおかしくて気恥ずかしくてムカついた。生命の誕生をみんな素直に喜んでる。私は喜べなかった。そんなに簡単に喜んでいいのかよくわからない。もっと疑問に思うべきだと思う。ただかわいいって手放しで喜べない自分は不幸だと思った。抱きながら赤ん坊特有な匂いにむせ返っていた。ああ、これは人の匂いだと思いながら、人くせえと思いながら、そんなこと口に出して言えないので「わあ赤ん坊の匂いがする」とか言った。私の手の中で暴れるひとつの小動物。たくさん同情したけど、たくさん言いたいことがあったけど、言ったことは「皮膚が新しくてきれい」(セルロイドみたい、ゴム人形みたい。これってほんとに生き物か?)ってことと「白目が充血してなくてきれい」(これからいろいろ見ていくんだね。私が充血が目立つようになったのはコンタクトを付けるようになってからだと思う)ってこと。ほんとはもっと言ってやりたいことがあったけど、言ったら私の人格が疑われるから何も言わなかった。かわいいか、ほんとにかわいいだけなのか?なんか精一杯生きてるって感じが腕から伝わってきて怖かった。ああ、生きてるのかあってこんな小さい体の中にも腸が長くうねってるんだなあって思ったらすごく不思議な気がした。これからどんどん大きくなるんだ。怖い。なんか手放しに喜んではいけない気がした。赤ん坊を見るとより自分が生きていくということに関して考えてしまう。生まれてくるとは何なのか、死ぬとはなんなのか。ただそこにいた誰もが疑いもなく生命の誕生を喜んで祝福していた。私はそんなふうにはなりたくない。何か疑問を感じていきたい。馬鹿かもしんないけど。でも赤ん坊ってだけであんなにみんなから抱っこされて、笑顔をもらえるもんなんだね。寂しくて悲しくて、私も誰でもそうだったんだと、やっぱり生きるってこれから辛いことが多いんですよ。
母親がすごい幸せそうだったのが印象的だった。生まれて三ヶ月だって。この子が生まれたことが嬉しくて嬉しくて仕方のない感じだった。で、結婚してる人達に生まないの?とかそういう話になった。生むためにはセックスが必要なんだよなー、私は話し振られたら相手がいないですってことを言おうと思ったけど振られなかった。その代わりつまんなさそうにしてたら(してるつもりはないけど、たぶん出ちゃった。オーラが)「まだ若いからピンとこないよね」とか言われた。「あーそうですねー周りに産んでる人もいないので…」あー何それなんなんですかあそのようわからんセリフはムカつく。私だってそれなりに考えてるよ。いっぱい言いたいことあるよ、その前にセックスしたことねえんだよ、ああそうさ、若いさ、やったこともねえよ、相手もいねえよ、『友達の友達に流産というか降ろした人はいますけど』って言ってやりたかったけど、そんな雰囲気ぶち壊すようなこと言えなかった。ムカツク。何でそんなに幸せそうなんだよ、
赤ん坊みただけで疑問もなく幸せな気分に浸れるような人にはなるもんか。とそのとき誓ったのでした。
疲れる人生。ばかみたいでしょ、ははは。でも不幸の中に美しさってあると思うって永遠のテーマ、ばかみたいだけど、まだつっぱってるなーひどい

これ思い出した。